構造設計に進む道

建築学科1回生で学んでいた当時、僕は安藤忠雄や高松伸の絵画のようなドローイングに強く惹かれていました。
あの鉛筆タッチのドローイングの表現手法に心躍らせて、自分もこんな風に表現してみようと、一心不乱にステッドラーのホルダーを走らせていたことを思い出します。

僕もしきりに真似をして、こんな風に仕上げたりした。

1994~1995年の出来事です。

そんな中で一冊の建築雑誌に出会いました。
GA JAPAN 1996年9月号

東京国際フォーラムの屋根架構の写真が表紙を飾り、構造設計者であるSDG渡辺邦夫さんの記事が掲載されていました。空間の目的としての最適な構造について述べられています。

建築には今まで感じたことのない、こんな世界があるのか!と僕には衝撃的な一冊でした。

構造設計に進むきっかけとなった一冊です。

この時から数年後に、ある講習会で徐光さんと長谷川一美さんのお二方とお話をする機会があり、構造設計に進んだきっかけや東京国際フォーラムの構造についてなどお話をしたことは、今でも忘れられない体験となっています。

その頃から構造家の語る言葉に書物を通して聞き入るようになりました。

今でもバイブルのような本ですが、
思想的なものとして、
木村俊彦「構造設計とは」
渡辺邦夫「飛躍する構造デザイン」「SpaceStructure木村俊彦の設計理念」
アラン・ホルゲイト「構造デザインとは何か」播繁=監訳
ピーター・ライス「ピーター・ライス自伝」岡部憲明=監訳
佐々木睦郎「フラックス・ストラクチャー」

解析的なものとして、
坪井義勝「曲面構造」
柴田明徳「最新耐震構造解析」

これらはおススメの書物です。

その中でもお気に入りのフレーズは
『重さの時代性』について(重さ=重量や透過性)
古代においては「重いものを重く」
近代においては「軽いものは軽く」
そして現代では「重いものは軽く」

この思想はもはや古いのかもしれません。
現在では、「重厚さ」「軽快さ」とは別次元の「不明解さ」を内包した「最適解」による設計が注目を浴びています。

古代から連綿と受け継がれてきた構造技術について、どのように活用していくか。
自身の活動に身が引き締まる思いです。

構造設計の世界はとても可能性に満ちた分野のように感じています。