リニューアル2020 テレビ塔・久屋大通公園
都市の中に、まるで穴を穿つように憩いのオアシスを挿入する。
そこはあたかも自然の木立の中にいるかのように錯覚する空間である。
だが、これらは造園家や都市計画家らによって高度に計算された「人工的な自然」として、その恵みを享受している。
都市公園として、世界的に有名なニューヨークのセントラル・パークは、摩天楼の中にあるオアシスの代表的な場所であろう。
久屋大通公園
僕たちの生活の場である名古屋にも、憩いの場として緑に包まれた都市公園がある。
名古屋の繁華街の栄地区に、南北2kmにわたり100m道路の中央に緑に包まれた公園があり、
涼しい木陰や噴水の音、所々でイベントも行われている。
そんな久屋大通公園が、2020年9月18日にリニューアルオープンしたので足を運んでみた。
免震レトロフィット
久屋大通公園のシンボル的な存在として「テレビ塔」がある。
電波塔として1954年に竣工した道路内工作物で、
設計は東京タワーや通天閣も手掛けた「耐震構造の父」内藤多仲博士である。
約65年の時を超えて、最新の知見に基づき世界初となる、電波塔の「基礎免振化」工事が行われた。
設計は日建設計、施工は竹中工務店。
鉄塔の内部にホテルやカフェなど設けるなど、もともと「工作物」であった電波塔を「建築物」に変更したことも興味を引く。
テレビ塔のホテルって、一度は泊まってみたいですね!
免震レトロフィットは、重量約4000tの鉄塔を脚部で切断してジャッキアップを行い、
その隙間に積層ゴムアイソレータを入れて、重量を受けかえるという工事になる。
鉄塔の高さが高い分、その施工精度は精密さを要求され(ジャッキアップの制度が悪いと倒れてしまう)、
とても難関な工事だったと思う。
低層の歴史的建造物のレトロフィットより精度を要求される。
リンク:大阪市中央公会堂
都市公園として
新しく生まれ変わった久屋大通公園。
公園の両サイドには店舗やカフェが併設されて、とても賑やかなところに生まれ変わった。
pic.ミストが気持ちいい
率直な感想として、そこは憩いの場から商業施設に変わってしまったかのような思いもある。
朝露の煌めく頃、静かな公園でジョギングやウォーキングに精を出したり、
お気に入りの作家の本を静かに読みふけったり、お弁当を広げてピクニックしたり、
仕事が上手く行かないときに一人佇んでみたり、そんな人々の日常に寄り添った施設として活用できるのであろうか。
「人が集まり賑わいを創出する」というのと、かつて手にしていた「憩いの場」というのが、共存できるのであろうか。
やや否定的な思いでいることも確かであるが、おおらかな気持ちで受け入れていきたい。
偉そうだな。なんてね。
僕の事務所から徒歩5分なので、息抜きスポットが増えました。
テレビ塔は展望台まで階段で登れるそうなので、運動不足解消にはぜひ!!